SLOP ME: The Only Fan T-Shirt
SUBJECT: 新規採用(Communications Manager)のご案内、およびアテンション依存症に関する症例報告
この度、本日付で元・重度SNS依存症の者をPR担当(Communications Manager)として採用いたしました。彼女が過去の清算として開示したログは、当社の今後の認知戦略において非常に参考になるため、ここに共有します。なお、本内容は読者の心身(特に自尊心メーター)に深刻な影響を与える可能性があります。リスクを考慮の上、ご一読ください。万が一、認知のバグが発生した場合は、サステナビリティ・プロトコルを確認するか、直ちに人事部まで報告してください。
症例承認欲求への過剰依存
[症例報告:Communications Manager の独白]
テーマ:本当の望み ── SLOP ME(私をスロップにして)
5年前、私はOnlyFansで写真の販売を始めました。最初は顔を隠していたし、素顔を見せるのは高いお金を払ってくれる限定のファンだけだったから、それでバランスは保てていると思っていたんです。この文章を読んでいるあなたは、今すぐ「あいつだ!」って特定してアカウントを探そうとするんでしょうね。まあ、もういいですけど(笑)。探し出せるものなら、やってみてください。
最初は、少しばかりの大金が入ってくるのがただ楽しかった。自分の写真や動画に、これほどダイレクトな「数値(価値)」がつくなんて。普通のSNSでは絶対に味わえない万能感でした。男たちから送られてくるDMは当時から一律で気持ち悪かったですけど(笑)、定型文のメッセージを返すだけでそれが全部チャリンとお金に変わると思えば、何の苦にも感じませんでした。
構図を数ミリ変えたり、タイムラインへの誘導文を少し弄るだけで、LIKEやサブスクリプションの数が目に見えて跳ね上がる。本業のPRの仕事なんかよりも、自分の銀行口座の残高にダイレクトに同期するから、どんどん脳のギアが上がっていった。十分にそれ一本で生活できるようになった時、私は会社を辞めて「インフルエンサー」を本業にしました。
普通の人の数十倍は稼いでいたと思います。ダッシュボードの売上グラフは綺麗な右肩上がりを続け、すべての指標が順調に伸びていた。これは自分のプライドを守るための虚勢ではなく、客観的な事実です。
あの頃の私は、世界で一番 Stripe のダッシュボードをリロードしていた人間だったかもしれません(笑)。お金が入ると、ただの会社員では経験できないステージへ一瞬でジャンプできます。超高級ホテル、贅沢な食事、外車。AIに「次は何を買えばステータスになる?」と尋ねて、手当たり次第に「格が高い」とされる記号を買い漁った。そして、それを集客用のInstagramとOnlyFansに、狂ったようにアップロードし続けました。
転機は、彼氏と別れたことです。もちろん、彼は私が露出度の高いインフルエンサーだと知って付き合っていました。彼もお金の恩恵を十分に受けていたから、それを許容していた。ただ、私の留守中に、彼がファンとのDMの履歴を覗いてしまったんです。「気持ち悪くて、もう限界だ」と言い残して、彼は去っていきました。
すべてが反転したのは、その瞬間からです。
ファンから届く "So cute." や "I've always loved you." という無数のDMが、突如として耐え難いほどおぞましいものに思えてきた。写真や動画をアップロードする行為そのものがひどく億劫になり、完全に「やりたくないこと」に変貌してしまったんです。
「あ、私、これまでずっと自ら進んで気持ち悪い肉塊になっていたんだ」って。
私はどこかで、自分を「セックスワーカーとは違う」と境界線を引いて正当化していました。ファンとは一線を画しているし、物理的に体が触れ合うこともない。少しだけ肉体を露出するけれど、核心のパーツは見せない。その「焦らし(抑揚)」の技術に対してお金をもらっているクリエイターなんだ、と。でも、元彼のような普通の人間から見れば、そこに何の違いもなかったんですよね。その事実が、私のアイデンティティを根底から破壊しました。
それから間もなく、すべての更新とDM対応を完全に停止しました。……なんか、私の安否を心配してくれている人も一部いるみたいですけど、私はご覧の通り元気です(笑)。こんな擦り切れた過去を持つ私を雇ってくれた OTIOSE CORP. には感謝しかありません。これからはこちらのPRで、皆さんの脳をバグらせるお手伝いを頑張ろうと思っています!
[人事部より連絡] 産業医と彼女の症例について分析を行いました。結果は、過度なデジタルアテンションの摂取による「承認依存症」、および金銭・他者承認と自己評価の天秤が崩壊したことによる「自己解体欲求(自己破壊衝動)の肥大化」と診断されました。彼女は当時、自らのデジタル上の肉体がドロドロに腐敗していく(スロップ化する)という強烈な精神錯乱(妄想)に取り憑かれていたようです。

しかし興味深いことに、「自らの虚像が完全に崩壊する」という絶望的な経験そのものが、彼女の精神のデトックス(自然治癒)として機能し、今日の健全な社会復帰へと繋がったようです。実にもろく、美しいシステム挙動(バグ)ですね。 彼女は本日より、PR部門の即戦力として稼働します。従業員の皆様は、彼女のバグを優しく受け入れてあげてください。
最後に、従業員の皆様におかれましては、第一に「他者承認ではなく、自己承認のインフラを確立すること」、第二に「他者の欲望を通して形成された自分など、ただの空虚なスロップ(虚像)であり、いつ破壊しても構わないものであること」を強くご認識(内面化)ください。

本件に伴い、皆様の歪んだ承認欲求を物理的にリセットし、自意識を保護するための「作業着(Supplies)」を用意しました。フロントには彼女の遺影であり、救済の象徴でもあるグラフィックがハードコードされています。義務ではありませんが、速やかに着用してください。

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